住宅ローンを借りるとき固定金利と変動金利のどちらにするか迷いますよね。この記事ではそれぞれの金利がどのように決まるのかを説明しています。
住宅ローンの固定金利と変動金利の決まり方を知るには、住宅ローン以外の金利を知る必要があります。住宅ローンに関わる下記の金利について説明していきます。
- 政策金利
- 短期・長期プライムレート
- 住宅ローンの固定金利・変動金利
住宅ローンの変動金利と固定金利がどうやって決まるのかが、ちょっとわかった気分になれるかと思います。
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そもそも金利とは
借金には元金のほかに利息が発生します。金利はこの利息を算出するために利用する割合のことです。利息は下記で計算されます。
利息=元金 × 金利(年利)
例で説明します。
例)住宅ローンで1000万円を金利1%で借りた場合
最初の年の利息は、10,000,000円 × 0.01 = 100,000円です。つまり、元金のほかに10万円の利息を支払う必要があります。翌年の利息は残りの元金に金利をかけた金額です。
上の式から分かるように、金利が低いほど利息は少ないです。借金の返済は元金分+利息分なので、金利が低いほど支払う金額を減らせるということですね。
政策金利
政策金利は中央銀行(日本は日本銀行)が金融政策で操作する金利のことです。金利のコントロールを行うことで、景気への刺激や抑制を行います。
現在は、無担保コール翌日物金利のことを政策金利と呼びます。無担保コール翌日物金利とは何でしょうか。単語に切って考えてみます
- 無担保:担保がないこと。担保とは借金を返せる保証のことで、住宅ローンだと土地や建物が担保になり、借金が返せない場合は担保が回収されます。
- コール:金融機関同士で取引が行われる市場をコール市場と呼ぼます
- 翌日物:翌日に返済する借金です
金融機関同士で担保なしでお金の貸し借りができる市場を無担保コール市場と呼びます。その中で、翌日に返すものを無担保コール翌日物と呼びます。そして、これにかかる金利が無担保コール翌日物金利です。
無担保コール翌日物金利はコール市場での金利なので、日銀は関係ないように思えます。しかし日銀は、市中銀行が日銀に預けている日銀当座預金の量をコントロールすることでコール市場に間接的に介入し、金利のコントロールを行っています。介入方法はちょっと難しいので、別の記事にして今回は割愛します。
ちなみに、無担保コール翌日物金利は「短期金利」と呼ばれたりもします。
マイナス金利政策
ちょっと横道にそれますが、マイナス金利政策って聞いたことがありますよね。これは、市中銀行が日銀に預けている日銀当座預金の一部に対してマイナスの金利を適用する政策です。
市中銀行は日銀にお金を預けているとお金が減ってしまうので、日銀に預けるよりは顧客(企業や個人)にお金を貸そうとします。より多くの人に借りてもらうために金利を下げる必要があります。金利が下がると多くの人がお金を借りるので、市中にお金が回り景気が上向きになるというのが狙いです。
プライムレート
銀行が企業に対して融資をする際の優遇金利のことです。融資する期間に応じて、短期プライムレートと長期プライムレートに分かれます。
短期プライムレート
1年未満の短期融資における最優遇金利のことです。日本銀行の政策金利に影響を受けます。政策金利が上がれば短期プライムレートも上がりますし、政策金利が下がれば短期プライムレートも下がります。
銀行から企業への融資なので、個人にはあまり関係がないように思うかもしれませんが、住宅ローンの変動金利はこの短期プライムレートと連動していると言われています。上で述べた通り短期プライムレートは政策金利に影響するので、住宅ローンの変動金利は日銀の政策金利に大きな影響を受けるということです。
具体的な数値として、2009年から1.475%程度となっています。日本銀行のサイトで確認できます。
長期プライムレート
1年以上の長期融資における最優遇金利のことです。この融資を受けることができる企業は東証1部上場企業のみです。
長期プライムレートは「長期金利」と連動しています。多くの場合、長期金利とは新発10年国債利回りのことを指しています。国債は市場で取引されており、市場参加者によって価格と利回りが決定しています。つまり、長期プライムレートは国債の市場の参加者によって決まるということです。
ここもあまり個人と関係ないと思うかもしれませんが、長期プライムレートは住宅ローンの固定金利と連動していると言われています。
住宅ローンの固定金利・変動金利
上記の政策金利とプライムレートを振り返りつつ、より身近な住宅ローンで考えてみます。変動金利とは金利が変動する仕組みのことで、固定金利とは一定期間金利が固定になることです。
変動金利
住宅ローンの変動金利は短期プライムレートに連動します。そして、短期プライムレートは政策金利に連動しています。つまり、住宅ローンの変動金利は日銀の金融政策に大きな影響をうけるということです。現在は日銀が上記で述べたマイナス金利政策を行っていることもあり、変動金利はかなりの低金利となっています。
どうやって私たちが実際に借りるときの実質の変動金利は決まっているのでしょうか。多くの銀行では、短期プライムレートに+1.0%した金利を店頭金利(基準金利)としています。そして、基準金利から優遇金利を引いた金利が、実際に適用される変動金利になります。
優遇金利は、優遇金利は借りたい人の属性や融資金額などから総合的に決定されています。
固定金利
固定金利は長期プライムレートと連動しています。そして、長期プライムレートは長期金利と連動するので、住宅ローンの固定金利は長期金利と連動します。
日銀は2016年に長期金利を0%程度にする目標を発表しました。国債価格が上がれば利回りは下がり、価格が下がれば利回りは上がるので、日銀が国債を売買することで国債価格に介入して長期金利を0%程度に誘導しています。
日銀が長期金利を0%程度に誘導することをしているので、現在は固定金利も低い金利となっています。
まとめ
住宅ローンに関わる金利についてまとめました。住宅ローンの変動金利と固定金利はそれぞれ短期プライムレートと長期プライムレートに連動することを説明しました。また、各プライムレートは日銀の政策に影響を受けています。現在は長期金利を0%程度に誘導するという目標があることから、住宅ローンの金利はかなりの低金利となっています。
ここまでから、住宅ローンの変動金利が近い将来に上がるのか下がるのかを予測する方法が見えてきます。国債が市場で取引されていることもあり、金利が上昇する場面では長期金利は政策金利よりも先行して金利が上昇すると言われています。つまり、長期プライムレートが上がると、将来的に変動金利が上がる可能性があるということです。
現在変動金利で借りている人は、定期的に長期プライムレートをチェックしておくと良いかもしれませんね。時機を見て、固定金利に切り替えるのはありかもしれません。
※ 間違えている部分があれば、是非コメント頂きたいです。