株価の妥当性は?PERとPBRとは

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価格の水準を数値化で表す指標であるPERとPBRについてまとめてみます。

株価は会社によって値段が大きく異なりますよね。例えば、トヨタは7300円、任天堂は65,000円、NTTデータは1,502円です(2021/01/29時点)。この株価の違いはどう捉えればよいのでしょうか、株価が高いほど割高なのでしょうか?

PERとPBRは株価の水準(割安・割高)を表すことができる指標です。株価の割高感などは株価を直接見るのではなく、時価総額に関係するPERとPBRを確認する必要があります。

PER:時価総額と純利益の関係を表す指標
PBR:時価総額と純資産の関係を表す指標

時価総額と株価

時価総額とは企業価値を表す指標です。時価総額が高いほどその企業に対する期待度が高く、逆に時価総額が低いと期待度は小さいです。

時価総額は下式で計算されます。

時価総額=発行済株式数×株価

上式から株価は時価総額に対する1株式あたりの金額であると言えます。この株価の値段をどう考えるべきでしょうか。

株価の割高感・割安感はどこから計算するか

そもそも、株価の妥当性(割高感・割安感)を知りたい理由は何でしょうか?おそらくそれは、企業への期待度から投資を始めるべきか辞めるべきかを判断するためです。

上記でも述べましたが、企業への期待度は時価総額で表されます。株価が低くても発行済株式数が多い場合は時価総額は高くなります。逆に、株価が高くても発行済株式数が少ない場合は時価総額は低くなります。

つまり、株価の割高感・割安感の判断は、株価のみではなく発行済株式数も考慮した時価総額をもとに行われるべきです。

時価総額を基準とした指標として、PERとPBRがあるので、それぞれの詳細を確認していきます。

PER(株価収益率)とは

PER(Price Earnings Ratio)は株価収益率と呼ばれ、時価総額と純利益の関係から計算される指標です。計算式は下記です。

PER = 時価総額 ÷ 純利益

この数式は何を意味するでしょうか。それは、企業が時価総額分の利益を出すためには何年間必要なのかということです。

例えばPERが1.0の場合、その企業は1年間で時価総額分の純利益を生み出していることになります。また、PERが10.0のときは、10年間で時価総額分の利益を生み出すということです。

PERが1.0と10.0ではどちらが良いでしょうか?時価総額と同じ金額の利益を1年間で生み出す企業の方が優れていると思いますよね。つまり単純に考えると、PERが小さいと割安で、PERが高いと割高であると言えます。

しかしながら、そんな単純な話ではありません。

PERが低いと割安なのか

PERが低いと割安だとは一概には言えません。業種などでPERは大きく異なります。いくつか例を出してみます。

銘柄業種PER
サイボウズ(4776)情報・通信85.91
NTTデータ(9613)情報・通信29.67
WOWOW(4839)情報・通信23.26
日立製作所(6501)電気機器13.86
トヨタ自動車(7203)輸送用機器14.37
ソニー(6758)電気機器15.38
2021/01/29, Yahooファイナンス調べ

情報系のPERが、製造業(電気・自動車)のPERよりも高い傾向にあるのがわかるかと思います。

情報通信系のPERが高くなる要因として、収益が比較的安定していることや、今後の成長率を期待されて株価が上昇し時価総額が高くなっていることが挙げられます。

逆に、製造系ではコロナショックなどによって製造に影響が出ると赤字になってしまう可能性があるので、PER的にはあまり評価されていないという事情があります。

PERが株価の割高感と割安感を見る一つの指標であることには間違いありませんが、業種間の違いなどは考慮して数値を捉える必要があります。

日経平均のPERは?

PERは業種によって違うと述べましたが、平均的にはどのくらいなのでしょうか。日経平均のPERの推移を見てみます。

直近4年間の日経平均株価とPER(赤が株価、緑がPER)
ref: https://nikkei225jp.com/data/per.php

コロナショック前は10~15程度を推移していました。コロナショック後は収益が減少しているからか、株価が上がりすぎているかでPERが大きくなっていますね。

PERを1株当たりで計算してみる

実は、上で紹介したPERの式は下記のように分解可能です。

PER =(株価×発行済株式数)÷(1株当たりの純利益×発行済株式数)

これを発行済株式数で約分すると、下式になります。

PER = 株価 ÷ 1株当たりの純利益

ちなみに、1株当たりの純利益はEPS(Earnings Per Share)と呼ばれます。

PERは株価収益率と呼ばれるので、1株当たりの収益を示す指標でもあります。むしろこっちの式の方が一般的だとは思いますが、時価総額を純利益で割ることと同じ意味です。

PBR(株価純資産倍率)

次に、PBR(Price Book-value Ratio)についてです。PBRは株価純資産倍率と呼ばれます。時価総額に対してどの程度の純資産を持っているかを示している指標です。

下式で計算されます。

PBR = 時価総額 ÷ 純資産

PBRは1倍を基準として考えることが可能です。PERが1倍未満の時、割安であると言えます。ちなみに、PBRが1倍ということは時価総額=純資産です。

PERが1未満の時はどういう状況でしょうか。1.0未満ということは、純資産が時価総額を上回る状況です。実はこれはちょっと不思議な状況です。

極端な例ですが、PBRが1.0未満のときに会社がもし解散した場合、株主は株価以上の資産を得ることができてしまいます。株の保有量に応じて、資産が与えられるためです。企業が解散した方が株主が儲かるという状況は、ちょっとおかしい状況だとわかるかと思います。

一般的に、PBRは1.0以上ですし、1.0未満になると1.0以上に戻ることが多いです。1.0未満の場合は割安ですが、なにか理由があるかもしれないので注意が必要です。

日経平均とPBR

PBRの平均的な値をしるために、日経平均とPBRを確認してみます。

日経平均とPBR(赤が株価、青がPBR)
ref: https://nikkei225jp.com/data/per.php

基本的にPBRは1.0以上であることがわかるかと思います。

一方で、コロナショックの時は1.0以下に下がってしまっていますね。株価が下落して時価総額が減ったことが原因だと思います。

PBRの下落は、株価の下がりトレンドの底値判断にも利用できる指標だとも言われています。1.0未満はちょっと異常な状態なので、PBRの戻り圧力が働くからです。暴落したときには、PBRの値を確認して、底値を見つけて投資できればよいですね。

まとめ

時価総額と収益の関係であるPERと、時価総額と資産の関係であるPBRについてまとめました。

株価の割高感or割安感の判断は株価だけではできないため、企業への期待度を表す時価総額を基準に考える必要があります。

また、PBRは株価下落の底値判断の一つとしても使えると言われていることを紹介してみました。

この記事に掲載した画像は下記で自由に作れるので、気になった方はぜひ利用してみてください。

https://nikkei225jp.com/data/per.php