源泉徴収票から所得税と住民税を計算してみる

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今年も確定申告の時期が近づいてきました。先日、知り合いに源泉徴収票から所得税と住民税を計算する方法を教えて頂きました。

自分のための記録として、計算方法をまとめておこうと思います。一般的なサラリーマンの話です。

源泉徴収票とは

1年間で企業が自分に払った金額と、自分が支払った所得税などが書いてある用紙です。確定申告や転職、住宅の購入時などに必要になります。

源泉徴収票の見方がわかれば自分がどの程度税金を納めているのかがわかるので、見れるようになりたいですよね。

各項目について

源泉徴収票で特に知っておくと良い代表的な4つの項目(用紙の上側に書いてある)について整理しておきます。

項目内容
支払金額企業が自分に支払った金額です。「年収」です。
給与取得控除後の金額「給与所得金額」のことです。支払金額から給与所得控除額を引いて計算されます。給与所得控除額は国税庁が決めています。
所得控除の額の合計額様々な所得控除の合計額です。所得控除の具体例として、生命保険料控除、地震保険料控除などが挙げられます。全てで15種類あります。
源泉徴収税額納めた所得税です。

支払金額は年収のことです。額面年収とか言ったりしますよね。税引き前の何もひかれていない金額のことです。

源泉徴収税額とは自分が支払った所得税のことです。実は自分はこのことを知りませんでした。所得税とか書いてくれていたらわかりやすいのに、、、

源泉徴収税額(所得税)の計算方法

まず、源泉徴収税額(所得税)の計算方法をまとめてみます。源泉徴収税額なら見ればいいだけなのですが、改めて計算方法を勉強してみます。

源泉徴収税額は「給与所得控除後の金額(①)」と「所得控除の額の合計額(②)」から計算できます。計算順番は下記です。

  1. 課税所得金額の計算
  2. 所得税額の計算
  3. 復興特別所得税の計算
  4. 所得税額と復興特別所得税から源泉徴収税額の計算

まず、給与所得から様々な控除を引いた1. 課税所得金額を計算します。その後、課税所得金額に応じた2. 所得税額と、所得税額から3. 復興特別所得税を計算します。そして、所得税額と復興特別所得税を足した金額が、4. 源泉徴収税額です。

それぞれの計算方法について詳しく説明していきます。

1. 課税所得金額の計算方法

課税所得金額の計算式は下記です。

課税所得金額 = ① – ②

簡単ですね。本来、支払金額から①を計算するのはめんどくさいのですが、源泉徴収票ではすでに計算済みなのでそれを利用します。

※ 上記にありますが、①は「給与所得控除後の金額」で、②は「所得控除の額の合計額」

2. 所得税額の計算

所得税額の計算方法は下記です。

所得税額 = 課税所得金額 × 税率 – 控除額

税率は課税所得金額に応じて異なります。各税率は下記になります(国税庁のHP)。

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

具体例でみてみます。

1) 課税所得金額が100万円(上記の表から税率は5%、控除額は0円)
   所得税額=1,000,000 × 0.05 – 0 = 50,000
つまり、所得税額は50,000円になります。

2) 課税所得金額が400万円(上記の表から税率は20%、控除額は約42万)
   所得税額= 4,000,000 × 0.2 – 427,500 = 372,500
つまり、所得税額は372,500円になります。

3. 復興特別所得税の計算

復興特別所得税は所得税額の2.1%です。100円以下は端数切捨てです。

1) 所得税額が50,000円の場合
復興特別所得税は下記で計算されます。
   復興特別所得税 = 50,000 × 0.021 = 1050
つまり、復興特別所得税は1,000円です。

2) 所得税額が372,500円の場合
復興特別所得税は下記で計算されます。
   復興特別所得税 = 372,500 × 0.021 = 7822.5
つまり、復興特別所得税は7,800円です

4. 源泉徴収税額の計算

ようやく最後です。最後の計算は簡単です。

源泉徴収税額=所得税額+復興特別所得税

上記の例から各源泉徴収税額は下記です。
1) 課税所得金額が100万円:50,000円+1000円で51,000円です。
2) 課税所得金額が400万円:372,500円+7800円で380,300円です。

住民税の計算

所得税の次は住民税の計算をしてみます。計算手順は下記です。

  1. 課税所得の計算
  2. 所得割の計算(税額控除の計算)
  3. 均等割の計算
  4. 所得割と控除額と均等割から住民税を計算

住民税も課税所得を基準に計算します。課税所得とは、上記で述べた「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を引いた金額です。

税額控除は住宅ローン控除や配当控除などの合計金額のことです。ここの計算は人によって差が大きいので、今回は省略します。

計算がめんどくさい場合は、住民税は課税所得の約10%と覚えれば十分だと思います。

2. 所得割の計算

住民税の所得割部分は、道府県民税と市町村民税からなります。それぞれの税率は住んでいる地域によって異なりますが、大体合計で10%程度です。(例えば、神奈川県横浜市だと市民税が8%で県民税が2.025%)

例で計算してみます。

1) 課税所得が100万円(横浜市)
   所得割=1,000,000 × ( 0.08 + 0.02025 ) = 100,250
つまり、所得割は100,250円です。

実際にはこの金額に対して控除金額が引かれます。なので、所得割は最大で10%と覚えておけばよいと思います。

3. 均等割

均等割は収入に関わらず全員に等しく一定額が課税されます。この金額は住んでいる地域で異なります。自分の住んでいる地域で調べてみてください。

神奈川県横浜市だと、市民税が年額4,400円、県民税が年額1,800円です。

4. 住民税の計算

住民税の計算式は下記になります。

住民税= (所得割 – 控除額) + 均等割

住民税の計算は所得税より単純ですね。

まとめ

源泉徴収票から所得税と住民税を計算する方法を紹介しました。控除額を考えなければ、計算はそこまで難しくないと思います。

課税所得を減らすことで住民税と所得税の両方が安くなり、節税につながることがわかるかと思います。課税所得は控除額が増えると減ります。普通のサラリーマンの方には控除額を増やすことはなかなか難しいですが、副業をすることで控除対象が増えるので、節税に繋げられるかもしれませんね。